目的思考がエンジニアと事業系お互い遠慮しなくていいチームを作る – Fringe81インタビュー [後編]

fringe81さんでのQiita:Teamの利用状況について伺った前編
職種やチームの境界を超えたコミュニケーションの場として機能しているのが特徴的でした。
後編では、そんなコミュニケーションが生まれる「fringe81チームの文化」がどう作られているかを聞きました。

Fringe81 が職種やチームの境界を超えてコミュニケーションできているのはなぜか?

目的にフォーカスする思考

―Qiita:Teamのご利用状況を伺うと、事業系と開発系など職種やチームの境界を超えてコミュニケーションが起きていますよね。Fringe81さんのように100人近い組織になると、その点をチームの課題としてあげることも多いのですが、 Fringe81チームが境界を超えていけているのは、なぜだと思いますか

佐藤さん: まず基本的なマインドとして「エンジニアをリスペクトする」ということがあります。営業主体の会社だと受発注の関係になってしまい、事業部のほうが強くて開発のほうは案件待ちみたいな感じになってしまいます。その関係性はよろしくないので意識しましょう、というのがひとつ。

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佐藤さん

もうひとつは、目的思考の会社なので、「この目的ならば事業部の形はこれでしょ」っていう風に、部署やチームの形に対して一切こだわりなく、必要であればどんどん変えていくんですね。
そうなると事業系・技術系に関わらず目的を見て動くことになるので、じゃあ情報のシェアも断絶がないほうが目的に対して役割が明確になるしいいよね、ということを誰もが意識していることから始まっていると思います。なので目的に対して何が最短なのか、ということをみんなで考えることができる、という環境がありますね。

人が人を発見する文化

寺本さん: Fringe81には色々な事業がありますが、それが中心の会社じゃないと思っています。じゃあ何かというと人や文化が中心だと思うんですね。それをみんなが意識しているところが特徴かなと。

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寺本さん

人を中心にするってどういうことかというと、 人が人を発見する文化が根付いていることだと思います。
月に1回、発見大賞というのをやっていて、誰々さんがこういうことをやっているのを発見しました、という内容をQiita:Teamに投稿するんですね。エンジニアも事業側もごちゃまぜで、みんな投稿するんです。それをみて、あぁこの人ってこういう人だったんだ、今こういうことがんばってるんだ、というのが分かるので、お互い認め合うというか、じゃあ理解して応援しようと思える。そういう機会が月1回コンスタントにあるっていうのは大きいと思います。

その前提があるので、事業サイドとエンジニアサイドが意見を言い合うことが出来るんだと思います。

境界を超えたコミュニケーションが起こるチームを作るには

―過去にはFringe81さんでも、そういった組織の境界を感じるようなこともあったのでしょうか。

夏井さん: 過去に「このままではそうなってしまうな」っていう感覚はありました。例えば、プロダクトを開発していて、バグを出しちゃいました、ということがありますよね。で、バグが落ち着いたあとに事業系技術系で一緒に振り返り会をやってみると、事業側から「本当はお願いしたい緊急の案件があったけれども、バグ対応で忙しそうにしていたから言いづらかった」と。「言ってくれよ、もう」みたいな(笑)。ああこれは完全に、言いたいことがあっても言えてないんだな、ということを思って。

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夏井さん

―言いたいことがあっても言えないというのは、気になるアラートですね。

夏井さん: じゃあどうしようかということで、まず座席の配置を変えるということをやりました。事業系と話す機会が一番ある技術系のオーナーの席を、事業系のほうに持っていく。そうすると事業系のメンバーに、技術系のオーナーと開発メンバーが何話してるのかが耳に入ると。お互いリアルタイムに状況を把握できるようになるんですね。例えば事業系が電話していて、緊急っぽい雰囲気があれば「どうしたの?」みたいな興味もわくし、でも席が離れてると、そういった事象に気付けないまま過ごしてしまう。先ほど話したバグが出たときっていうのは、それが顕著に出たかなという感覚はあったんですが、これでだいぶ良くなったなと感じています。

他にも、意思疎通をとるための仕組みはなるべく増やすようにしています。

ある事業について営業系ではどういう人が関係していて、技術側はこの機能を誰が作ってるんだというのを 顔写真付きで全体図を書いて壁に貼ってみたり。 ほっとくと忘れちゃうんですけど、可視化されてるとお互い「そうだったんだ」って気づけるんですね。このAPI実はあいつが作ってるんですっていうのを、営業が「あ、そうなんすかー」と知れる感覚が結構いいな、と思っていて。
技術系が一番嫌なことって、作ったんだけどフィードバックがないことだと思うんです。それで事業側にも「売れてきたら技術系の方に来て『売れたよ!』って言ってよ」ってお願いしたり。
あとは、将棋とかの部活動や、卓球で対抗戦とか、部署横断でランチに行く仕組みを作ったりとか、みんなが話すきっかけになるものを用意しています。

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事業系・技術系の執務スペースの間に設置されたコミュニケーションスペースも、きっかけをつくる工夫

互いに相手のミッションに興味をもつ。どこまでを「自分事」としてとらえられるか

夏井さん: Fringe81では3カ月に1回各自のミッションを決めて動いてるんですが、誰がどんなミッションを受けて動いてるかをオープンにする、ということもやっています。そうすると、誰かがミッションにないことをやってくれたとき、「こいつ、ミッションじゃないのにこんだけ助けてくれたんだ」と思えて、例えばその人が体調崩して休んだとか、子供が体調悪くてちょっと行けないですといったときに、お互い自然と手を差し伸べる、というところにつながっていくんですね。

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夏井さん

佐藤さん: 結局、どこまでを自分事としてとらえて行動を変えられるのか、ということの範囲だけだと思うんです。他のチームのことにも関与したいという意思と、関与されてもその意見を取り入れてよりよくする、というのが双方にあることなのかなと。目的思考であれば、この目的に対してはこうだよねという話ができるので、感情的にならずに目的に向いた意見ができますよね。

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佐藤さん

寺本さん: みんな、事業とかじゃなくて世の中を良くしたいと思ってるんですね。全員が本当に思ってる。暑苦しいんですよ、一言でいうと(笑)でも、それを暑苦しいけど、そうだよねっていえる人がいるっていうのは、Fringe81が圧倒的にとがっているところ。1人冷めて、わー…みたいなことがあんまりないんですね。
週次会議とかも、参加しない人の多い会社とか相当あるらしいんですよ。そういうことはFringe81では絶対ないですよ。みんな他のプロダクトのことを見る、聞く。あんまり事業で絡んだことのない人から、この事業はこうだと思うんだよね、って話しかけられる。それをみんな使命感なくやってるところが、一番「面白いな、この会社」って思う所ですね。

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寺本さん

(了)

編集後記

今回のインタビューでは、境界を超えたコミュニケーションのとれるチーム、というのが一つポイントでした。

最近 Increments 社内で「チームが機能するとはどういうことか (TEAMING)」という本を輪読したのですが、その中で最高のチームをつくるための重要なポイントとして、「境界を超えたチーミング」ということが紹介されています。「職種やリアルな場所など組織の中にある様々な種類の境界をいかに超えていくか」という内容ですが、Fringe81さんでは、まさにその点に着目してアクションを起こされているなと感じました。

みなさんのチームでも、「境界」がチームにどう影響を与えているかチェックしてみてはいかがでしょうか。
Qiita:Teamは、境界を超えようとするチームを支えるツールでありたいと思っています 🙂

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移転直後の新オフィスにおじゃましました!